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首相の評価

 安倍氏が退陣して四箇月を迎える。当時、突然の辞任表明に多くの国民は驚いた。

 それから数箇月経った今、そろそろ国民は彼の姿を冷静に見る目を取り戻せているであろうと思っていた。だが未だに彼を敗北者、落伍者と見る向きが多い。保守層の人たちにもそのような人たちがいるのである。

 安倍氏に年配政治家が持つような老獪さがないことを以って人格や能力を云々するのも結構だが、政治家、特に一国のリーダーに求められる資質はそうではあるまい。  
 故会田雄次氏は十年数年も昔に斯く言っている。

 「国家のために働く者には、大言壮語、客気満々の青臭いものかもしれないが、何かのために自分を犠牲にしてもいいという気概、つまり志を持っていることが大切である。マニュアルを遂行する能力だけでなく何かにつけて未整備、未熟な国家に課された難問に取り組んでいく能力が必要である」と。
 
 そうした意味では、後年首相として登場した安倍氏は会田氏が言ったように青臭いものではあっても、日本のために自分を犠牲にしてもよいという志だけは持ち合わせていたのではなかろうか。

 現に戦後の政治家が誰一人成し得なかった二つの大きな課題に取り組み、その仕事を遣って退けたのである。それも僅か一年の在任間においてである。

 少なくともそれは教育基本法を不完全ながら改正し、国民投票法を成立させて被占領国憲法を真の日本国憲法に改正する入口を開いたことでも分かる。

 総裁選に臨んで掲げた戦後レジームからの脱却、美しい国日本の再生という彼の政治理念は在任中も一貫してぶれることはなかった。彼が一人の政治家としてもリーダーとしても未熟であったとは思えないのである。

 安倍氏を過当評価するつもりはない。しかし、どう少なく見ても戦後六十年の政治の中で、久方ぶりに気骨を持ち合わせたリーダーであったのは確かである。だからこそ会田雄次氏が述べた如き資質を持ち合わせていない多くの官僚、政治家、マスコミの連中にとっては安倍氏は甚だ都合の悪い首相であったこともまた事実であろう。    

 そういうリーダーの宿命といえる四面楚歌の孤独のなかで彼は政治理念を変えることはなかった。将来において彼の再起を期待したいが、それがならぬとしても志士(獅子)の皮は残したと思う。

 彼を「ぼんぼん」「未熟な人間」と呼ぶのは容易い。しかしその評価が妥当なものとは思えない。

 亦、世間では彼のことをKYと呼ぶそうだ。「空気が読めない」の意味らしい。日本語をアルファベットで略語し、他人を揶揄する無教養、軽薄さも醜いが、自己利益の追求に価値を求める空気に阿って姑息に立ち回る政治家に比べるなら空気が読めなくて結構である。 

 国家国民を率いる立場の人間が安っぽい世間の空気を気に懸けていてどうする。安倍氏の人格をもってぼんぼんというのなら、恰も道に落ちていた財布を拾うかのように首相の椅子に着いた福田氏をどう評するのだ。

 昨年十月の所信表明演説で語った「若者が明日に希望を持ち、お年寄りが安心できる政治」にも今年一月十日の施政方針演説で語った「生活者や消費者が主役となる社会」にも彼がいったい何をしたいのかさっぱり見えない。

 会田雄次氏が期待した国家のリーダーたるの資質「何かのために自分を犠牲にしてもよいという気概や志」は見られない。外交について見ると「日米同盟の強化とアジア外交の推進が共鳴し、すべてのアジア諸国において安定と成長が根付くよう積極的にアジア外交を進める」という。そのために「中国とは共通の戦略的利益に立脚した互恵関係を打ち立て、アジアの平和と安定に貢献していく」というのだ。

 これは三十年前に父君の福田赳夫氏が唱えた「福田ドクトリン」であり、それを持ち出しただけのことである。時代が変わっても父君の域からは一歩も踏み出せていないぼんぼんである。ここには気概や志は見えない。親に背負われ、風車のおもちゃを手に喜んでいるぼんぼんである。

 福田二世が就任して四箇月が経つ。この間に彼は何か具体的な成果を挙げたのであろうか。安倍氏は首相就任三箇月にして教育基本法を改正させた。日本国憲法の改正手続きに関する法律(通称:国民投票法)を八箇月にして成立させた。福田氏には安倍氏なら持っていた明確な国家観や国家の展望がない。国益や国家の将来を見ずに世間の空気を読むことにはご執心である。

 例えば沖縄集団自決の問題に関する教科書検定への抗議集会参加者数について事実を確認せずに空気を読んで開催者側が発表する十一万人を政府として認定したのである。

 それに加えて隣国の空気を読むことにも余念が無い。靖国神社への参拝は日本国内のことであるにも関わらず、「相手が嫌がることはしない」と先回りして表明したのである。

 このようなことでは国家のリーダーとして意義ある仕事はできない。「国益を読めない」という意味で「KY」とは福田氏に進呈するべき言葉である。
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