北京の空は青い

　八月二十四日に閉幕した北京オリンピックは良識ある国際人にとっては大成功、大いに意義あるイベントであった。中国共産党当局の指令ですべての工場は操業を停止し、北京市内には通常の半分の自動車しか乗り入れを許さない。前もって郊外に人口雨を降らせ「北京にスモッグはない。ご覧のとおり北京の空は青い。」と演出した。

　北京市公安当局が指定した公設抗議公園での集会・デモの申請は開会期間中に七十七項目１４９人であったが「話し合いによって問題解決したので申請者たちは自ら申し込みを取り消した。」とのことである。公安当局の主張は「我々は公設の抗議会場まで提供したが民衆には政治への不満などなかった。民主国家であることの表れ。」ということだ。

　五輪開会式で自国の革命歌を披露するのも他国から見れば滑稽を通り越して異常であるが、この歌曲を歌った少女の歯並びが悪くて国益を損ねる。そういう理由から、本番の舞台では他の少女に口パクをやらせた。北京五輪組織委員会は「開会式として間違っていない。些細なことを拡大して批判するのは問題だ。」と自分たちの正当性を主張している。関係者によれば共産党政治局員の指示による演出であったことが判明している。

　誰の目から見ても北京五輪は大成功、平和の祭典であった。何を以て意義ある祭典かといえば中国は自作自演によって「チャイナドリームとは所詮幻想でしかない」という事実を国際社会に示したのである。あの国では何もかもが本物ではないということが証明されたのである。

　思えば１８９４年、それまで欧米列強が「眠れる獅子」と称していた中国（清朝）が日本に敗れ、実は張子の虎であったことが世界に知られることになった。それから百十余年を経た現在、為政者が替われども中国のすべてが虚構であることが世界に示されたのである。事実が事実として証明されるのはとてもよいことである。しかもそれが中国自らの演出によって示されたのは意味深い。

　「北京五輪は大成功であった」と喝采しよう。「意義ある平和の祭典であった」と称賛しよう。