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2010.09.06/ 13:49(Mon)
     甦れ美しい日本 第692号より転載(許可を得ています)

『月刊日本』の「羅針盤」欄に載せた、「シナが目論む鉄道支配」と題する前稿で、
日本の高速鉄道の輸出が、中共などに脅かされている状況を述べたが、
それに関連する驚くべき情報が、8月27日の毎日新聞で報じられている。

吉富裕倫記者によるこの記事では、冒頭に「米カリフォルニア州下院は25日、
高速鉄道計画の入札参加企業に、戦時中の捕虜輸送などへの関与情報を明示するよう求める法案を可決した。
州上院も可決しており、州知事が署名すれば成立する。
日本やフランスなどの外国企業が参入を目指す鉄道商戦に、戦後補償問題が影響する可能性が出てきた」
と、述べられている。
ついで、「新法によれば、42?44年の第二次大戦中、強制収容所や捕虜収容所への列車輸送に関与した企業は、
当時の輸送記録の有無や被害補償を行ったかどうかなどの情報を入札に先立ち開示しなければならない。
入札資格のはく奪など懲戒規定はないが、企業に説明責任と戦後補償を促す狙いがある。」とある。
この「42?44年の第二次大戦中」という表現は、何を意味しているのか、単純な間違いなのか、
今のところ分からない。


このとんでもない法律が出てきた背景と状況は、
「フランス国鉄がユダヤ人をナチスドイツの強制収容所へ輸送したことを念頭に法案が提出されたが、
州上院では日本が戦時補償や約67万人の韓国、朝鮮人を鉄道で連行輸送した経緯も審議された」
とあるから、額面通りに読めば、フランスが最初の標的で、日本はそれに巻き込まれた如くである。


更に吉富記者は、「州上院当局者は毎日新聞の取材に対し『民営化された後継企業にも同法が適用される』と述べた。戦時中政府直轄だった鉄道は国鉄をへてJRに民営化された。新幹線システムを売り込む日本企業連合の一員として参入を表明しているJR東日本が同法の対象となる可能性がある」と指摘している。

そして最後に、「加州の高速鉄道は総額約450億ドル(約4兆円)といわれ、
日本やフランスのほかドイツ、スペイン、中国、韓国など米国外企業が参入を狙っている」と結んでいる。


インフラの輸出は、民主党政権が力を入れている、数少ないまともな政策の一つであり、
前原国土交通大臣は、アメリカへの高速鉄道を売る込むために、今年の四月と六月に、二度にわたって訪米している。カリフォルニアの縦貫高速鉄道は、日本側ではJR東日本の担当となり、本年4月30日に正式に表明された。
それが歴史問題を根拠として、強烈な妨害工作にさらされるようになったわけである。


では誰がこの妨害工作を企んでいるのであろうか。
今回の問題が、フランス国鉄によるユダヤ人輸送が発端になっていることから考えて、
フランスやユダヤ人迫害の本家本元であるドイツではありえない。
またスペインと言うことも考えにくい。
とすれば、残るのは中共、そして韓国である。しかも両者は、緊密に結託しているのかも知れない。
そして両者の謀略の対象はフランスではなく、日本が当初からの標的であったものを、カムフラージュしたものではないのか。それは以下の事実からも想定できる。


そもそも何故この時期に、トンデモ法案が州の上下両院で可決され、州知事の署名を待つばかりになったのか。
それはシュワルツェネッガー知事の、日本訪問と関係しているであろう。
8月25日の朝日新聞のウェッブ版によると、シュワルツェネッガー・カリフォルニア州知事は、9月13日から二日間の予定で日本を訪問するという。なおこの記事は、時事通信の配信によるもので、朝日本紙には出てこない。


それによると、「日本は新成長戦略に掲げたインフラ輸出の中核として、米国が計画中の高速鉄道の受注獲得を官民一体で目指していることから、知事による新幹線施設の視察や試乗を予定している。
米高速鉄道のうち、カリフォルニア線はJR東日本が川崎重工業など車両メーカーとともに売り込みを図っているため、試乗は東北・上越新幹線となる見通し」であると言う。


重要なのはそれに続く部分である。「知事は来日に前後して中国、韓国でも鉄道システムを視察する予定で、日本は安全性や快適性などをアピールしたい考えだ」。
つまり、戦時輸送状況の開示法案の可決は、知事のアジア三カ国訪問における鉄道視察と、完全にリンクしたものであるのだ。
したがって謀略の主体は、極めて明らかであろう。
歴史問題に真剣に対処してこなかった負の遺産が、日本経済に具体的に巨大なダメージを与えるところまで、
ものの見事に及んで来たのである。
この法案が可決に至るまで、日本の外交官は一体何をしていたのであろうか。

それにしても、この重大な情報は、私が知る限りであるが、8月27日の毎日新聞しか報道していない
戦時補償に熱心な朝日も、反対の意味で熱心なはずの産経も、そして読売も報道していないのである。
毎日もその後の報道はないから、知事が署名してこの法案が正式に成立したかいなかも、今のところ明らかではない。中共・韓国の腹黒さも凄まじいが、日本人の鈍感さもまことに凄まじい。
これほど愚かで無気力な民族は、諸民族の生存競争に敗れて、歴史のかなたに消えて行かざるを得ないだろう。
           酒井信彦 (東京大学史料編纂所元教授)
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